用語解説

自分で考えることの意味

宿題や授業で子供が問題につまずいていると、つい答えを教えたくなることはありませんか。けれども、子供が自分で考える時間には、答えを出すこと以上の大切な意味があります。近年の知識に関する研究では、子供は新しい知識をそのまま覚えるのではなく、これまでに学んだことや生活経験と結びつけながら、自分の中で理解をつくっていくと考えます。つまり「考える」とは、頭の中の知識を使って新しい問題に向き合うことなのです。
ただし、考える時間を与えるだけで、これまでに学んだことを自然に結びつけられるわけではありません。子供によっては、「これまでに習ったことを思い出してごらん」「見方を変えてみたらどうなるかな」「見えない線を思い浮かべられるかな」など、何を思い起こし、どう考えればよいかに気づかせる働きかけが大切です。
たとえば、L字型の花壇の面積を求める算数の課題があります。子供は最初、「こんな形の公式は習っていないからできない」と感じるかもしれません。でも先生が答えを教えず、「これまでに習ったことが使えないかな」と考える時間を取ると、子供は長方形の面積が「たて×横」で求められることを思い出し、L字型を「線を引けば長方形に分けられそうだ」「大きな長方形からへこんだ部分を引けそうだ」と考え始めます。 このとき子供の頭の中では、「L字型」という新しい問題と、「長方形はたて×横」というすでに持っている知識が照らし合わされ、「線を引けば長方形にできる」という形でつなぎ直されています。これは単なる思いつきではなく、前に学んだ面積の求め方を手がかりに、まだ習っていない形の面積を求める方法を自分でつくり出しているのです。新しい公式を教えてもらうのを待つのではなく、すでに持っている力を組み合わせているのだ、と言い換えてもよいでしょう。
このように、自分で考える時間は、子供が知識を「使えるもの」に変える時間です。答えを教えてもらうだけでは「そうすればよいのか」で終わりがちですが、自分で考えると「なぜその方法で求められるのか」「ほかの形にも使えるのか」という理解につながります。だからこそ、自分で考えることは学びを自分のものにする出発点になるのです。