考えをまとめる、整理する ― 抽象化する、概念化する ―
主体的に学び取ったことを、自分の力でまとめたり整理したりする活動は、学びを深めるための見方や考え方を育むことにつながります。調べたことをそのまま表現するのではなく、調べる目的に沿って、自分の力で学んだ内容を文章や図に表現することで、学びの全体をつかむことができるようになります。
例えば、分数の計算を学習していて、練習問題が解けたら、分数の計算方法がわかっています。そこで、もう少し考える時間を取って、自分の言葉で分数の計算方法を説明する文章を書いてみましょう。「3分の1足す2分の1は、6分の2足す6分の3にして〜」などと個別の事例を具体的な数で説明するのではなく、「まず、分母を同じ数にするために〜」など、他の数の場合にも応用できる抽象化した言葉でしくみを説明します。文章で難しければ、例題を作ったり、図を使って分数の計算方法を説明したりするのです。こういう活動が、概念化という思考方法のひとつで、考えをまとめて、学んだことを確認するときに使います。違う方法や、違う問題などで学んでいても、この概念化した説明で、友達や先生と話し合えば、理解したことを確認することができます。
すべて自分の力で文章や図を作り上げることができなくても、グループやクラスの仲間の視点や工夫を相互に参照して表現できるようになる場合もあります。これまでは、調べたことをそのまま発表したり、練習問題を解けるようになったりすることが学びのゴールのようにとらえられていることがありましたが、これからは、学んだことを元に様々な考えや自分なりの見方を他者に表現し、意見をもらったり考えを広げたりすることが、本来の学力を育むことにつながると考えられています。